影と奈々は黒神に怪しまれながらも、少しずつ準備を進めていった。

学校の帰り道に花屋があったはず。
そこに行ってみよう。

初めての花屋。
横目で見る分には綺麗だなで済んでいた。
しかし、実際に購入を考えて訪れてみると、
花しかない店内で何を選べば良いのか全く判らない。
どの花も綺麗で素敵なのに、
この中から何かを選ばなければならないというのは
なかなかに難しいことのように思った。
花の前で唸る。

突然話しかけられて驚いてしまった。
とにかく店員さんに全てを話そう、そう思った。

焦って、上手く説明が出来ない。
私は何度も拙い説明を繰り返した。
店員さんは根気よく耳を傾けてくれ、私の話を理解してくれた。

「双子なんでしょう?だったら二つ花束を用意したらどうかしら。
似ているとは言え、別の人間だもの。
同じ誕生日だからって、一緒にされるよりも何か違いを見せるのが良いんじゃないかな
」
「なるほどです。じゃあ、花束を二つお願いしても良いですか?
28日の夕方取りに来ます
」
「じゃあ、二人の特徴を教えてもらっても良いかな?」
「一人は、明るくて優しくて、飄々としてて、調子よくって。
誰とでも仲良くなれる人なんですよ。
いつも楽しいことを考えてて、世界中の人々の幸せを願ってる人です。
もう一人は物静かで、私の親代わりに一緒に住んでいる人です。
優しいんだけど私はよくお説教されてます。
でもね、いつどんな時でも私のことを考えてくれている人なんです」
正直に二人のことを話すと、店員さんは笑った。
「貴女は二人のことが大好きなんですね」
「はい。私の大切な家族です」→