ちっっさい呟き

のにょ

2月21日

 ウジザネは蹴球の練習をしていた。
 蹴鞠ではなく、蹴球である。
 蹴鞠を好んでいたところ、蹴球と出会いすっかり虜になってしまった。
 悪霊退治のために本殿にいるが、空いた時間には蹴球の練習に取り組んでいる。
 壁に当てて跳ね返ってきた球を蹴る。
 何度も何度も。
 だが壁では物足りない。
 ウジザネは鳥居を見た。
 本殿の入り口にそびえる大きな鳥居。柱と柱の間が、ちょうどいい。

(今までだって大丈夫だったし)

 ウジザネは球を蹴った。
 円柱である柱は予想外の所へ跳ね返り、それを予測し走って再度蹴る。
 跳ね返ってきたものをまた蹴る。
 いい調子だ。
 もっと強く――

 バキッ。

 嫌な音がした。
 これ以上はやめておいたほうがいいかもしれな――――柱にひびが入っていくのが見えた。

「……嘘だろ」

 ひびが広がっていく。
 ウジザネは慌てて柱に駆け寄り、両手で押さえた。

「待て待て待て!」

 支えるのに成功したが、このままでは倒れてしまう。
 ウジザネは全身で鳥居を支えた。

(やばい、めちゃくちゃ目立つ……)

 誰か通りかからないか。いや、通ってほしい。助けてほしい。でもバレたくない。
 矛盾した気持ちで、ウジザネは必死に鳥居を支え続けた。
 しばらくして、誰かが通りかかった。

「ウジザネ? 何やってんの?」

 ゴクウだった。ウジザネは必死で笑顔を作った。

「鳥居を使った柔軟!」
「ふーん。変わったことするね。あ、俺主《ぬし》さんに呼ばれてんだ。いいだろ~?」
「どうせ討伐だろ。主《あるじ》は忙しいんだから早く行ってこいよ」

 ゴクウは嬉しそうに去って行った。今は羨ましいとか思えない。独神にだけは会いたくない。
 ウジザネは息をついた。
 ゴクウはごまかせたが、問題は解決していない。
 その時、独神の声が聞こえた。

「ロキ。やめなさい」
「少しくらい良いだろ。サボっちまおうぜ」

 ロキが独神にまとわりついている。独神は困った顔をしていた。

(あいつ、また主《あるじ》に……)

 ウジザネは咄嗟に球を蹴った。
 ロキの頭に見事命中する。

「痛っ! 何すんだよ!」

 ロキが振り向いた瞬間、目と口が大きく開いた。
 ウジザネは気づいた。
 鳥居から、手が離れている。

 ゴゴゴゴ…………バキィィィン。

 鳥居は倒れた。
 オノゴロ島が出来た時からある鳥居だと聞いたような聞いていないような。
 そんなことを今思い出して血の気が引いた。
 ロキが笑い声を上げた。

「おまえ! おもしれぇじゃん!!」

 ロキが見ているということは当然、独神も鳥居を見ている。
 真っ青な顔で伏した鳥居を見ている。

「…………」

 目だけが上下に動いている。
 本来あった場所と、現在の場所とを見比べているのだろう。
 ウジザネは震えた。

「ご、ごめんなさい!」

 独神は目を閉じて深く息を吐いた。
 目を開くと、すたすたとウジザネに近づく。
 ウジザネは気を付けの姿勢を取った。

「……怪我は?」
「え」
「怪我はないの?」

 ウジザネは首を振った。

「な、ないです」

 独神は頷いた。

「そう。良かった」

 怒っていない。むしろ心配している。
 ウジザネは泣きそうになった。

「ごめん、主《あるじ》……」

 独神はつま先立ちをしてウジザネの頭を撫でた。

「じゃあ、一緒に直してくれる人を探しておいで」
「え」
「誰に協力を仰いでも良いわ。頑張ってね」

 反論なんて出来るわけがない。ウジザネは頷く以外の選択肢を選べなかった。

「はい……」

 ロキはまだ笑っていた。

「いやー、おもしれー」

 独神がロキを見た。

「ロキ、あなたも手伝ってあげて」
「はぁ? おれ?」
「原因の一端でしょう」
「誰がやるかよ、ばーか!」

 ロキは舌を出して逃げ出した。
 ウジザネは急いで走った。鳥居を直せる者を急いで探し出さなければならない。

(怒らないのが一番怖いんだって!!)

#小話
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のにょ

2月20日


 夜、どんなに片付けたとしても、朝には山のように紙が溢れ、床には柳行李が無造作に置かれている。
 独神は毎朝、淡々とそれらを処理していく。
 悪霊の情報、村や山にある境界の件、壊された町の修繕――独神の仕事は尽きない。
 休憩に外を眺めると、鴨が一列に整列していた。こちらを見て首を傾げる。
 独神は手を振った。鴨は満足そうに池へと向かっていった。

 次は討伐の報告を聞く。

「東海道にいた悪霊ですが、隠れていた者たちも全て斬りましたよ。完璧です」
「オモダルありがとう。街道には常に英傑を置いているのにどうして増えるのかしらね」
「見落としているのでしょう、何かを。調査はお任せを。全てを明らかにしないと気持ち悪いですからね」
「じゃあお願い。ひとが欲しいなら誰でも連れて行って。街道の警備は最優先だから」
「承知しました」

 英傑たちは優秀だ。独神はただ彼らの能力を見ながら配置するだけでいい。
 なにものにも属さない存在だからこそ、上に立つことを許された。
 独神はいつも、英傑たちに自分は何を還元できるのかを常に考えている。

 昼過ぎ、ある英傑が訪ねてきた。

「ぬしさまぁ。ふふ、見てください」

 テッソがいつもとは違う装束を着ていた。

「華服? 今日って何かあったのかしら」
「ありましたよ。大きなぱおん、もらったんです」

 ぱおんとは小麦粉と塩を練って焼いた食物だ。
 中に潰したゆで卵を挟んだり、そのまま食べたりもする。
 テッソはぱおんを石のように堅く焼いたものが好きだった。

「ガリガリガリガリ」
「おいしい?」
「ガリガリガリ」
「そう、良かった」

 ネズミのように齧り付く様子を眺めた。
 テッソがふとぱおんから口を離す。

「……ぱおんをくれる方のひと、大陸で修行したいからしばらくいないそうです。ぬしさまにも後で挨拶するって言っていた気がします」
「ああ、店番の方ね。修行中だから店に自分のぱおんを出せないって言ってたけれど……そう、大陸に修行に行くのね」

 独神は外を見た。英傑たちがじゃれ合っている。
 中に大陸に関係する英傑が何人かいる。
 彼らは大陸へ帰りたいと思うことがあるだろうか。
 主である独神には、なかなか言いづらいことだろうが、大陸のことに想いを馳せているだろうか。

 そうだ。

「天灯を飛ばすのはどうかしら」

 大陸の風習。願いを書いた灯籠を空に放つ。
 故郷を感じられるかもしれない。想いが、少しでも届くように。
 二月二十五日に開催しよう。
 独神は準備の指示を書き始めた。

#小話
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のにょ

2月19日

 大陸の友人からの贈り物は、結局見つけられなかった。
 最初から本殿のセイリュウ宛てに出してくれれば届く可能性もあっただろうに。
 だが友人は大陸でも高名な神。その神の物と知られると下々の者が奪い合う暴動が起きるからできないという理由だった。
 嘘はついていないだろうが、どうもその友人はセイリュウが困ることを楽しんでいる節がある。
 手に入れられずに悩むのも折り込み済みなのだろう。
 切り替えなければ。いつまでも引きずっていられない。

「あんなにかわいいのに食べようだなんて信じられない」
「主様が止めてくれなかったら危なかったよ」

 聞こえてきたのは多分、昨日の鴨の話だろう。
 彼らは今日も池を優雅に泳いでいた。

 今日からはまた東の守護に戻る。留守中のこと、今後のことを独神に確認しに行く。
 独神の部屋へ向かうとヒデヨシがいた。
 一旦部屋には入らずに待つ。
 討伐の話なら良いが、個人的な話であるならば、少し時間を置いて再度訪ねる方が良いだろう。

「これは堺で見つけた渡来ものですぞ」

 ヒデヨシの声。何かを差し出したようだ。

「わあ……綺麗ね」

 独神がうっとりとした声をあげた。

「翡翠の細工はなかなか見ないわよね。さすが大陸の物ね」

 翡翠。
 心臓が跳ねた。

「そうでござろう。中はまだ拙者も見ておらぬ故、一緒に拝見しても?」
「勿論。あなたが見つけたものだもの。あなたも気になるでしょう?」

 まさか、あの箱か。

「先生!!」

 セイリュウが部屋に入ると、独神が丁度箱を開けたところだった。
 ヒデヨシが一瞬顔を歪めたように見えたが、構っていられない。
 箱の中の宝玉が光り、声が流れ出た。

『やあ、セイリュウ。久しいな』

 独神とヒデヨシが驚いて顔を上げる。

『話を聞いて驚いたぞ。まさかおまえさんに――ぷ、ぷふふ、ガハハハハハ』

 懐かしいなんて感傷に浸る余裕はない。
 セイリュウは宝玉を掴み取った。

『誠実なのはお前さんの美徳だが、いかんせん面白みがない。時にはあっと驚くような失態でもすればど――』

 床に叩きつけた。
 ガシャン。
 砕け散る音。セイリュウが肩で息をする音以外、何も聞こえなくなった。

「ヒデヨシ殿すまない! あとで弁済する! 先生も、邪魔してすまなかった」

 セイリュウはその場を去った。
 独神はヒデヨシを見た。

「……悩みでもあるのかしら」

 ヒデヨシは何も言わなかった。

#小話
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のにょ

2月18日

 毎年、本殿の池に鴨が来る。
 数ヶ月の同居人を歓迎する者が多いが、クツツラは今日も朝から眉を潜めていた。

(羽が……散らかる)

 白い羽根が一枚、石畳に落ちている。
 また一枚。
 鴨たちは悠々と池を泳ぎ、時折ぶるりと身を震わせる。
 その度に羽根が舞う。
 クツツラは箒を手に取った。
 掃いても掃いても、鴨は去らない。
 ここには鳥の言葉を理解する英傑がいて、鴨たちはここは住んでも良いと頭で理解している。
 多少騒いだところで逃げていかない。
 箒で池の水面をバシャっと叩くと、羽を広げて少し離れていく。
 だがすぐに戻ってくる。
 石畳を掃き終えた頃には、最初の場所がまた汚れていた。

(……きりがない)

 苛立っていると、縁側にセイリュウが腰を下ろしたのが見えた。
 東方の見張り台にいないのは珍しい。休暇だろう。
 鴨を眺めているのか、ただ庭を見ているのか、判らない。
 声をかける気にもなれず、クツツラは再び箒を動かした。
 庭中を掃除し、本殿の廊下を掃除し、夕方に池を見ると、また羽が散らばっていた。

(まただ)

 クツツラは雑巾を握りしめた。

「ただいま戻りましたぞ!」

 元気な声が本殿に響く。クツツラは振り返った。
 いつもうるさいヒデヨシだ。二重に苛立ってくる。

「クツツラ殿! 今日も清掃とは精が出ますな!」
「まあね」

 短く返した。

「おや。ご機嫌があまり良くないご様子。なにかありましたかな」

 クツツラは鴨を指さした。

「何度綺麗にしても汚されるんだ」
「なるほどなるほど。では、こういうのはどうでしょう」

 ヒデヨシはにこりと笑って人差し指を立てた。

「食べてしまうというのは」

 むすっとしていたクツツラがみるみるうちに目を開いた。

「……いいね」
「決まりましたな。拙者、カモには一家言ありますぞ! っと、荷物を置いてすぐに戻ります故、クツツラ殿は独神殿に声をかけてもらえませぬか」

 クツツラが頷くと、ヒデヨシは脇に抱えた小箱を抱え直して飛んで行った。

#小話
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のにょ

しんと冷える朝。
足の指を丸めながらそっと立ち上がる。

半纏を着て、廊下を歩く。

竹刀の音がする。
道場を覗き込むと、ヤシャがいる。
いつもいつも精が出る。
独神はしばらく目が離せなかった。

努力のひと。
気が引き締まる。

#小話
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のにょ

2/18

 ヒデヨシは朝一番で堺に来ていた。

「拙者、ヒデヨシと申す。独神様の使いで参った」

 商人は目を丸くした。

「独神様の? こんな朝早くから」
「大陸の船が着いたと聞いてな。良い品があれば独神様にお納めしたい」

 実際には、独神に頼まれたわけではない。だが、珍しい品を献上すれば喜ばれるだろう。
 いや、喜ぶかどうかは判らないが、少なくとも、役に立つ者だと思われる。
 本当は昨日に来たかったのだが、討伐が長引いてしまい翌日となってしまった。
 だが売れそうなものはすぐには店頭に出すまい。良い品はまだまだるはずだ。

「ああ、昨日届いたばかりや。まだ全部は出しとらんけど」

 店の奥から、いくつか箱が運ばれてきた。
 ヒデヨシの目が、一つの宝石箱で止まった。
 翡翠色の石が埋め込まれた、手のひらくらいの箱。細工も見事だ。

「これは?」
「ええもんやろ。大陸の職人の手仕事や」

 値は張るが、独神への献上品だ。惜しくはない。

「これをいただこう」

 金を払い、箱を受け取った。ずしりと重い。中に何か入っているのだろうか。

「開けてもええで」
「いや、独神様の前で開けさせていただく」

 商人は頷いた。
 朝の市だが昼のように騒がしい。ヒデヨシは箱を懐に入れ、本殿へ向かった。

(これなら、きっと……)

 独神の顔を思い浮かべる。
 あの方は、こういう物に興味を示すだろうか。判らない。
 だが、拙者が選んだ品だと知れば、少しは――
 ヒデヨシは首を振った。

(いかんいかん。その顔は本番に見ればよし)

 独神への贈り物は用意したが、もちろんこれで終わりではない。
 ここからは個人的な買い物だ。

「おお! これは見事な(高そうな)壺! 拙者が買いますぞ!!」
#小話
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のにょ

2月16日

大陸からの船が堺に来ていた。
セイリュウは非番を利用し、堺を訪れた。

(なさそうだな)

下ろされた積み荷はすぐに市に並ぶ。
セイリュウは足早に店を巡り、目当てのものを探した。

夕方まで粘ったが目的のものには巡り会えなかった。
肩を落とし、宿へ向かった。
この時間ではオノゴロ島に着くのは夜中になる。
出立は明日でいいだろう。


(手紙は情報漏洩を疑われるから、宝石箱に入れて商人に持たせたと言ったか、案の定見つからなかった。もう何度目だ)

セイリュウは日が落ちても賑やかな堺の町を見下ろした。

#小話
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のにょ

ほ、ほんとに飛び降りなきゃダメ?

切り立った断崖。
水飛沫が舞う。

伝承が本当なら海の神が出てくるから!頑張って!!

本当じゃなかったら?

……………


(※一血卍傑以外でも召喚というか、出会う術があったらなって。ゲームっぽく)
#小話
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のにょ

ウラシマが土下座した。

頼む!オレのオヤジとオフクロとじーちゃんとばーちゃんのために一緒に来てくれ!!

いつ結婚するんだとせっつかれたらしい。
で、相手はいるから連れて行くと言ってしまったそうで。
で、協力してほしいというお願い。

周囲は大反対だけど、独神は主だから挨拶はしておきたいと言って、行くことに。


ウラシマが意外とちゃんとしていて感心したり。

こんな時代だからこそ、結婚した姿をみたいのだと聞かされ、独神も色々考えたり。
家が続くことで、先祖に孝行ができるんだと。
嫁をもらってようやく一人前だと。
#小話
ヒトリで生まれた独神にはない感覚。
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のにょ

独神のワタシには奪われる名などない。
独神は独神。
個ではなく、全でもない。
挿げ替えがきくが、替えはない。

……深く考えないほうが良いぞ。
「独神」は「独神」
それだけだ。


(プレーヤーが数多いるので誰でも「独神」なんだけど、でも「あなた」は一人しかいないわけだから「独神」は一人しかいない。という、両立する矛盾。)

#小話
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のにょ

暗い部屋。
鏡へ向かって唱える独神。
立ち上がったかと思えば、部屋に沿うように並べたロウソクを一つずつ継ぎ足していく。

「……寿命でものばしてんのか」
「黙ってなさい! あ、喋ったからやり直しじゃん……」

しゅんとする独神。


※なんか怪しい儀式を想像したら、死神の蝋燭の話が頭に出てきたっていうただそれだけ。
#小話
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のにょ

独神が気になるロキ。
ちょいちょいちょっかいを出しているのだが、コミュニケーションの時間は短くて不満。
それに、独神の反応がつまらない。
最初は楽しかった。今も楽しい。
だが、別の英傑が同じようにちょっかい出した時も、同じように反応する姿が気に食わない。
モヤモヤ。

ある日、独神の外出に護衛としてついていき、悪霊に襲われた独神を助けた。
襲われて驚いた独神はロキにすがり、「ありがとう。助かったよ」と、いつもは見せない顔をした。

その顔が忘れられないロキは、わざと独神を危機的状況に陥れ、自分が助けるという茶番を行った。
なんども。
何度やっても独神はロキに感謝し、前よりずっと距離が近づいた気がした。

自作自演を何度も繰り返して。
目算を誤り、独神は怪我をした。更に運悪く火に襲われ、顔には大きな火傷が残った。

醜い独神にロキは興味を失った。

片腕が動かなくなり、顔に火傷痕が残った独神は表に殆どでなくなった。
腕はまだしも、火傷顔は民を怖がらせる。
最初は堂々と出ていたが、驚かれ、怖がられの時間が長く、なかなか本題に入れないので、本殿へこもっている方が効率的と考えた。

(少し、傷ついてもいる。美人だとは思っていなかったが、醜いとばかり言われて、自分はそういうものなのだと思わされてしまった)

火傷について。
カグツチが薬を塗ってくれている。
火傷をした日に本殿にいなかったのだが、数日後に帰ってきて独神を見てびっくり。
火傷なら良い薬を持っていたのに、と自分を責めた。
今は毎日カグツチが薬を塗りに来る。
薬自体はもう英傑の何人かが作れるのでカグツチでなくてもいいのだが、そういう習慣になってしまった。
それと、火の神であり、火傷に詳しいのもあった。火に関して信頼度が高いカグツチ。

独神は、懸命にやっているカグツチに絆されていて、少しずつ距離を縮めていく二人。
薬のおかげで傷跡は少しずつ薄くなっていた。
それを喜ぶカグツチ。独神も、元に戻れるかもしれないと同じく喜んだ。
カグツチは気を緩めることなく、毎日薬を塗る。自分でやればいい、なんて当たり前のことに二人は気づいていない。

ある日、薬を塗る指がふいに独神の唇に触れ、そのまま二人は口付けそうになり――――しなかった。
他の英傑の声がして、弾けるようにお互いに逃げたのだ。
だが二人とも意味ありげに視線を交わす。
そして、カグツチは部屋を出る。少しにやけながら。
独神の方はむすっとする。頬を叩いて、気を引き締めようとするが今度はにやけてしまう。

二人の空気が変わったこと、ロキは瞬時に見抜いた。
火傷をしてから、独神への興味の一切を失っていたロキだが、二人の関係が発展したことに勘づいた時、自分の中にあったのは焦燥感だった。

カグツチがいない間に、独神のところへ行く。
独神は「久しぶりだね」なんて、少しだけ気まずそうに言う。
「顔治ってきたんじゃねぇの」
「おかげさまで。餅は餅屋なのか火の神にまかせて良かったよ」
「なあ、ゴシュジン」

距離を詰められた時、独神はロキを突き飛ばした。
独神ははっとして謝った。

「ごめん。驚いちゃって」

カッとなったロキはそのまま独神を押し倒した。
暴れたので異変に気がついた英傑たちが部屋にやってきて、なにもなかった。

助けに来た英傑がボソリという。
独神の怪我だってロキがいなくなった途端になくなった。怪しい。と。
独神は「そんなことないよ、考えすぎ」と言いながらも遠くを見ていた。


#小話
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のにょ

祓えば……それは私なのか?

変わらないという保証はありませんが、そもそもあなたと思っているものがあなたではないのでは?
俗物に染められ汚されてしまったあなたを、自分らしさと勘違いしているのでは?#小話
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のにょ

穢れ。
俗世の穢れ。

神聖なる独神さまに、なんとまあ。
英傑とは名ばかり。
所詮この程度。

……近年は英傑も質が落ちたものよ。


八百万界とは、ほんとうに必要か?
もうこの世は役目を終えたのではないか?

#小話
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のにょ

神鏡の中で"私"が笑う。


――――いつお役目を果たすの?

#小話
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のにょ

うーん。
この作戦、あんまり良くない気がするなぁ。

って思ってたら失敗。
で、ついうっかり

だと思った

と呟いてしまう。
それを本人に聞かれて怒らせてしまう。

わかってたならなんで言わねぇんだよ。

言ったところで聞いてくれないだろ、僕の意見なんて。

みたいになってごちゃごちゃ。
最終的には仲直りする話。


……配役、めっちゃ困る。
角が立つ。

こういうのって現実だとままある話なんだけどね。
思ったこと言えない。
意地悪とかじゃなくて、気を使った結果がこう。

#小話
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のにょ

第二の独神が出てくる。
一人目を蔑ろにしない。 
そんなことをしては、反発されるから。
能力を失っても独神はまだまだ慕われている。
認められるためには、使えない一人目を立てていなければならないのだ。

一血卍傑だが二人目も出来る。
と、思わせておいて実はできない。
二人目だという独神は偽物。
このゴタゴタの中で、英傑たちをまとめるトップになってやれという野心から。

で、一人目の独神は二人目が偽物だと分かっていて黙っていた。
英傑の上に立つなんて、やりたいものもやれるものもいないから。

だからやろうと思い立ち、独神を名乗った二人目をその点では評価しているので黙っていた。

…偽物が本物になるはなしかな、コレ。
#小話
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のにょ

悪霊に何回か負けて。

独神が村で休んでいる時に村人に刺される。
「偽物め!」
「救世主という神託は嘘なんだろう!」

一命は取り留めたが、一血卍傑の能力を失う。

「はは…。で、だ。ただの障害者になった私は一線から退こうと思う。誰か、英傑の頂点に立とうという気概を持ったものはいるか?」

#小話
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のにょ

合議制はほんとうに良いものなのか。

責任分散するんじゃ。
結局擦り合わせることに争点がいくので、何も成せないのでは?

「…って思うんだけどどう?」
「もちろん理解しております。あくまで最終決定権は独神にあるべきかと」
「そうなぁ。私の責任なぁ…。初歩的なことを言って申し訳ないけど、責任取るって、私は何をすればいいの?」
「八百万界が滅びるところを眺めましょう」
にこっと、ショウトクタイシ。
「あなたが無理と思えば、もう終焉しかありませんから」
「責任取って切腹とか」
「したところで我々だけではどうこうできませんから滅するしかありませんね」
にこにこ。
独神、ちょっとこの過信が怖くなる。
「ええ…。死ぬのも逃げるのもなし? 頭をすげ替えるとか…?」
「滅びますよ」
にこにこ。
力が抜ける独神。
「今までで一番重い言葉かも…」
「そうでしょうか。無理強いはしていませんよ。いつでも諦めていいんです」
「そういうわけにはいかないでしょ」
「だからあなたに従っているんです」
眉をひそめる独神。
「…悪霊に捕らえられて生き恥をさらすくらいならと集団自決が起こったこと、覚えていますか」
「覚えてる」
「勝利はない、と諦める者が多い中で、あなたはずっとあがいている。私はそんな方を主に持てて幸せです」

「……。結局褒めてはくれるのね」
「一番諦めが悪い方が主に相応しいと考えおります」
ふっと笑う独神。
「失敗した時のことなんて考えてもしょうがないね」


#小話
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のにょ

コタロウが独神を飼う。

術なのかなんなのか、主従が逆転してしまう。
コタロウはあの独神の飼い主(主)になり何で言うことを聞かせられる立場に。


…エロのなるか健全になるかはその時の気分だろうな。

#小話
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のにょ

節度を持って接しているのに、他の英傑は無遠慮に独神と接していてあまり気分が良くないサスケ。

頭というものがわかってないのか?
と、頭を抱える。

規律がない組織は危険。
その思考だから、ゆるい本殿とちょっと合わない。

#小話
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のにょ

神様の僕は何を信仰すると思う。
君だよ。
#小話
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のにょ

君が捨てたこの場所で、僕は生きていく。

#小話
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のにょ

どうして悲しいと思うのか。
そんなものとうに捨てたろうに。

#小話
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のにょ

『盗んだ骨壺』


主はずっと、ここにいる。



#小話
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のにょ

花が降る。
ああ、またあのひとが私を想ってくれたのだ。

抑えきれない微笑を手で隠し、天上を見上げる。

「死んでも、わたしだけを想ってくれるって……ほんとでしたね」



※しかし本当に想ってくれたのは別の人ってオチ。

※こちらは、っ死者を想うとあの世でその人に花が降る」という話から。

#小話
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のにょ

他人の顔を認識できない独神と、盲目のセミマルの話。
視覚に頼らない恋愛。
#小話
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のにょ

殴られて言う事きかねえやつはいなかった。
独神も一緒だろ。

って英傑が独神にDVしまくる話。
#小話
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のにょ

好きになったら相手のことを知りたいと思わない?
言葉を交わすだけで満足できない。
身体を重ねてみないと見えないもの、たくさんあるでしょう?


私はみんな好き。
だからみんなと寝るの。


な独神。

#小話
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のにょ

ミスマルが見つかる前。
一血卍傑は独神との子作りで行うものだった。

…という18禁設定で、それに抗う話。#小話
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PROFILE

ふり~にが~としゃべってるようなところ。ネタバレにならない程度に小説の進捗を話している。あとはたまにくるってる。酒呑んで投稿する時はここ。